株の売買には税金が発生します。売買で儲けが出ると所得とみなされますので、必ず税金を納めなければなりません。
税金は確定申告するのが基本ルールですが、株式投資の場合、証券会社が本人に代わって納税する仕組みがあるため、簡単に終わらせることができます。
株式投資を始める際、好みの証券会社で口座開設します。このときに、取引した株の保管先として専用の口座を利用しますが、納税を楽にしてくれるのが特定口座です。
特定口座には源泉徴収ありと源泉徴収なしの2種類があり、このうち、源泉徴収ありの口座を選ぶことで証券会社が自動的に納税してくれます。
株を購入した後、うまい具合に保有株の株価が上がり、その状態で売却すれば差額で利益を得ます。この利益が発生した瞬間に、証券会社が自動的に源泉徴収を行います。納税分を引いた利益が、口座に入金されるという流れです。
源泉徴収で課税される税金は、所得税と住民税を合計した20.315%です。株式投資で儲けた金額が多くても少なくても、同じ税率です。
ちなみに、納税の義務は利益があったときだけです。株式投資で損失を出した場合、所得がゼロですので課税されません。
また、株式投資の源泉徴収では、損益通算という魅力的な仕組みも用意されています。
1年間の株式投資の売買で、利益と損失を出したとします。利益分は課税されますが、損失が出るとその時点で所得が減りますから、源泉徴収で納めすぎた税金が戻ってきます。
特定口座の源泉徴収ありに預けていた株の場合、この計算を証券会社が自動で行ってくれるため、わざわざ本人が確定申告をし、税金を取り戻す必要がありません。
源泉徴収に関しては株の譲渡損益だけでなく、株の配当や投資信託で受け取れる分配金にも適用されます。
源泉徴収は1年間限定で、翌年の取引には損益がリセットされます。この仕組みを考慮して、年内に株の受け渡しができるタイミングに合わせて株を売却し、譲渡損益を確定させ節税する投資家もいます。
源泉徴収ありの特定口座を選ぶメリットは、他にもあります。
どんなに多くの所得を得ても納税額が固定のため、自ら確定申告するより、納める税金を少なく抑えるテクニックが使えます。
また、株式投資の所得を給与所得などと別扱いにしてもらえるため、株で儲けても配偶者控除や扶養控除から外されること無く、控除の恩恵を受けられる良さがあります。
確定申告の義務のない源泉徴収ありの特定口座でも、申告自体は行うことができます。一方、申告するとその瞬間に源泉徴収ありのメリットが消滅する可能性があることを、忘れないようにしたいところです。